遷移金属であるカルコゲン化合物に関する特許出願件数が急増 ( 記事の出所: 韓国特許庁 ) 2017.08.21

遷移金属カルコゲン化合物(*)はグラフェンのような優秀な光学的透明性や機械的柔軟性を持つため、ウェアラブルデバイス、柔軟なディスプレイ、人工電子皮膚のような次世代柔軟電子素子として脚光を浴びている。特に、グラフェンにはない1~2eV台のバンドギャップ(**)を持っているため、韓国国内で研究開発が盛んに行われている。また、最近はグラフェンなど異種間の接合を通じて新たな半導体素子の開発を図る分野も急増している。

(*)遷移金属カルコゲン化合物(Transition Metal Dichalcogenide)はグラフェンと類似した2次元層状構造物質であり、バンドギャップが存在するため半導体素子として適合している。代表的にはMoS2, WSe2がある。

(**)バンドギャップ(band gap)は電子が存在できない領域である。バンドギャップがなければ導体、小さければ半導体、大きければ不導体の特性を示す。

韓国特許庁によると、この5年間(12年~16年)の遷移金属カルコゲン化合物に関する出願件数は計214件と、前の5年間(07年~11年)の計55件に比べ、約4倍に増え、出願件数が年々急増していることが明らかになった。

これまでグラフェンにバンドギャップを形成するためのナノリボンの形成とドーピングに関する研究は盛んに行われてきたが、バンドギャップ形成が制限的であり、バンドギャップが形成されたとしても電荷移動度が急減するという問題があった。

一方で、金属カルコゲン化合物はグラフェンと類似した構造を持つナノ材料であるとともに、柔軟かつ透明な上、電気的に1~2eV台のバンドギャップが存在するため、論理回路の製作が難しいというグラフェンの欠点を完璧に補うことができる。

金属カルコゲン化合物に関する特許出願の現況(12年~16年)を見ると、内国人による特許出願がほとんど(187件、87.4%)であり、外国人による出願(27件、12.6%)は米国(10件)、欧州(9件)、台湾(5件)、日本(3件)の順であった。

これは、半導体大国である韓国がグラフェンに続き金属カルコゲン化合物を利用したフォトセンサ、ソーラーセルなど光電素子分野に関する研究開発にも積極的に取り組んでいるためだと分析できる。

出願人ではサムスン電子(23件、10.7%)が最も多く、続いて慶熙大学(21件、9.8%)、延世大学(18件、8.4件)、SKハイニックス(16件、7.5%)、成均館大学(11件、5.1%)の順であった。

製造技術別の出願動向を見ると、金属カルコゲン化合物はグラフェンと同じ構造であるため、グラフェンを合成する方法がそのまま使われている。特に、高品質・大面積合成のために化学気相蒸着法(39.7%)を主に使う。化学気相蒸着法は機械的剥離法に比べ、費用が安い上、制御が可能であることから大量生産ができるためである。

最近はグラフェンの優秀な性質を金属カルコゲン化合物に結合する技術など、お互いの長所を融合して未来における新しい素子の開発を図る試みが大幅に増えている。

特許庁精密化学審査課の課長は「原子層単位の厚さを持つ半導体素材である遷移金属カルコゲン化合物は従来の電子素子だけでなく、優秀な透明性、機械的柔軟性を持っているため、ウェアラブルデバイス、柔軟なディスプレイ、人工電子皮膚のような次世代電子素子としての活用度が高い」とし「第4次産業革命に備えた未来の新素材として持続的な投資や研究開発が求められる」と述べた。

 
 
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