IPの礎事業、不良特許につながる恐れがある ( 記事の出所: 電子新聞 ) 2017.08.08

個人のアイデアを特許につなげ、起業も支援するという「IPのディディムドル(礎)事業」が暗礁に乗り上げた。市場価格の半額にも満たない特許出願(申請)費用と地域割り当てが足かせとなっている。「出願費用が低く不良特許になる可能性が高い上、地域に割り当てられた量により、不要の特許になりかねない」という指摘がある。

IPの礎事業がつまずいている。IPの礎事業とは特許庁が主催し、韓国発明振興会が主管する、アイデアを権利につなげる事業だ。技術力と事業性のある個人のアイデアを特許とし、技術によるスタートアップを支援することが狙いである。16の地域知的財産センターのIP専門委員がアイデアを発掘すれば18の特許事務所が特許を出願する仕組みだ。今年の発明振興会の目標件数は680件である。

業界が指摘するIPの礎事業における最大の問題は安い出願料(特許庁手数料と代理人手数料を含めて150万ウォン)だ。消費税抜きだと136万ウォン程度であり、これは市場価格を大幅に下回る。A弁護士は「先行技術調査、特許明細書作成、特許庁への審査対応を考えれば、あまりにも安い」とし「これではろくな特許になるのか心配だ」と述べた。特許の質は弁理士が時間をかけるほど向上し、時間は費用に比例するとみるためだ。

ある地域知的財産センターのB専門委員は「成功報酬を加えた出願料は現在300万~500万ウォン台で推移している」とし「150万ウォンで出願した特許は品質を保証することが難しい」と語った。他の地域センターのC専門委員は「150万ウォンでは弁理士において権利範囲を拡大するために特許庁と執拗にやり取りするような動機づけにはならない」とし「権利範囲を狭めて特許として登録できればそれで十分だ」と批判した。

事業の主管機関である発明振興会も安価であることを認めた。発明振興会地域知的財産室の室長は「出願料が安いということは特許庁も知っているが、政府事業が成功報酬まで支援することは容易ではない」とし「事業施行1年目である今年は国費だけで支援するが、来年から自治体の予算がIPの礎事業に割り当てられるようになると、状況は改善されるだろう」と釈明した。続いて「適正な出願料は150万ウォンの倍だと思う」と付け加えた。

ただ、品質を検収する装置はあるという立場だ。発明振興会の専門委員(弁理士)は「発明振興会と地域知財センターに所属する8人の弁理士が特許明細書の品質を検収する」と述べた。発明振興会が3月に出したIPの礎事業運営ガイドにもIP専門人材の裁量で個人、特許事務所などとコミュニケーションを取り、質の高い明細書を導き出すという内容がある。しかし、C専門委員が指摘したように「強制的に営業した感じでやっと生まれた」特許が実際、事業に役立つかは未知数である。

地域センター別の割り当ても問題である。16の地域センターが設定した今年の遂行目標は発明振興会の目標件数(680件)より多い753件となっている。センター別の平均件数は47.1件である。事業協力機関として特許事務所を選んだ4~5月からアイデア選定を終了すべき11月初めまでの期間を考えれば、無理な目標とは言えないが、優秀な発明がない地域にとっては依然として負担となるだろう。

B専門委員は「一部の地域では技術力がそれほど多くないため、特許より商標のニーズが多い」とし「地域センターで無理して目標を達成しようとするため、単なる実績のための事業もある」と述べた。続いて「スタートアップ支援という事業の趣旨を生かし、来年は特許以外にも商標・デザインも支援できるように担当者の権限を拡大していきたい」と付け加えた。

発明振興会地域知的財産室の室長は「現在、IPの礎事業は始まったばかりであるため、結論を出すには時期尚早だ」とし「29~30日に釜山で開かれるワークショップで実務者が抱えている点について議論する予定だ」と述べた。

 
 
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