中小・ベンチャー企業、営業秘密の流出になす術なし ( 記事の出所: 韓国特許庁 ) 2017.06.26

中小・ベンチャー企業における営業秘密の保護実態が劣悪で、営業秘密の流出による被害も大きいことが分かった。営業秘密の流出への対応策について懲罰的損害賠償制度の導入を求める声が上がっている。

韓国特許庁は、企業が抱える営業秘密の流出による被害の現状と問題点を把握するために行った、営業秘密侵害の被害に関する実態調査の結果を発表した。営業秘密を保有する韓国国内企業616社(*)を対象に、この5年間(2012~2016)受けた営業秘密の流出による被害について、アンケート調査を行った。

*大手企業59社(9.6%)、中堅企業117社(19.0%)、中小企業329社(53.4%)、ベンチャー企業111社(18%)

調査の結果、中小・ベンチャー企業における営業秘密の管理がずさんであることが明らかになった。営業秘密の担当部署を持つ割合では中小企業は13.7%、大手企業は30.5%と、中小企業の方がはるかに低かった。また、小規模企業は外部の人間に対する秘密保持契約の締結(*)、USB・PCなどの社外持ち出し手続き(*)といった面でも管理が甘かった。

*外部の人間に対し秘密保持契約を締結している割合:ベンチャー企業64.0%、中小企業58.1%、中堅企業76.9%、大手企業89.8%

*USBやPC、金型、試作品などの社外持ち出し手続きがある割合:ベンチャー企業30.6%、中小企業41.9%、中堅企業64.1%、大手企業86.4%

7社のうち1社は国内で営業秘密が流出したことがあり、流出した回数も多いことから企業における営業秘密の流出問題が深刻であることが明らかになった。616社のうち86社(14%)で営業秘密が流出したことがあり、流出した回数(*)は平均2回で、6回以上流出したと回答した企業も5.8%あった。

*流出した回数の回答結果:1回(54.7%)、2回(18.6%)、3回(15.1%)、6回以上(5.8%)

流出の多くは退職者によるものだったため、退職者の管理を徹底する必要がある。営業秘密の流出者については、営業秘密流出の被害を受けた86社のうち70社(81.4%)が内部の人間、33社(38.4%)が外部の人間によるものだったと答えた。内部の人間による流出では72.9%が退職者、32.9%が平社員、11.4%が役員だったと回答(複数)した。

営業秘密の流出方法は文書を持ち出す伝統的な方式以外に、オンライン・デジタル手段による流出方式も相当あった。営業秘密の流出方法を調査したところ、文書や図面の切取り47.4%、電子メールなどインターネットによる転送44.2%、外付けハードディスクでのコピー34.9%の順(複数回答)だった。

営業秘密の流出による企業の被害が大きいにもかかわらず、企業は手をこまねいていた。営業秘密の流出による被害額は平均で21億ウォンほどだったが、対応方法は無対応41.2%、警告状の発送30.2%、捜査依頼23.3%の順(複数回答)だった。

一方で海外における営業秘密の流出の多くは外部の人間によるものだった。流出したデーターの最終終着地は中国や日系企業だった。616社のうち24社(3.8%)が海外で営業秘密が流出しており、流出者については、24社のうち19社(79.2%)が外部の人間、9社(37.5%)が内部の人間だと回答(複数)した。流出した営業秘密の提供を受けた企業の本社について尋ねたところ、回答企業の62.5%が中国、20.7%が日本だと回答(複数)した。

*中国62.5%、日本20.7%、米国4.2%、スペイン4.2%、スイス4.2%など

企業は営業秘密の流出防止のために懲罰的損害賠償制度の導入など、民事的・司法的な罰則水準の引き上げを求めている。営業秘密の流出防止に向けた改善策については懲罰的損害賠償制度の導入64.0%、仮処分申請要件の緩和32.6%、損害賠償額の算定方法論の改善30.2%、刑事処罰の実効性の強化25.6%などの回答(複数)があった。

営業秘密侵害訴訟における問題点としては、証拠資料の提示および立証の困難さ75%、長期化する訴訟期間50%、裁判結果に対する不満25%などだった。

特許庁の産業財産保護協力局長は「中小・ベンチャー企業における営業秘密保護の現状は最悪だ」とし「今後、営業秘密の専門家によるコンサルティングのような政府の支援事業を充実するとともに現在、国会に提出中の懲罰的損害賠償制度の導入、刑事処罰の強化など制度的な改善策も進めていきたい」と述べた。


 
 
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