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File No.95 輸入禁止となった物品を第三者が輸入したら
(第一特許法人 会長 金昌世(キム・チャンセ))

2017-04-05
2016年(平成28 年8月10日(水) The Daily NNA【韓国版】掲載



File No.95 輸入禁止となった物品を第三者が輸入したら

 「不公正貿易行為調査及び産業被害救済に関する法律」(以下、「不公正貿易防止法」という)は、知識財産権者が侵害者に対して貿易委員会(以下、「KTC」という)手続を通じて水際差止措置を講じた後、第三の侵害者に対しても侵害品の輸出入行為を禁止させる簡易且つ効率的な手続を設けている。これを「既判定物品確認制度」と呼ぶ。本稿では、KTC手続についての概略的な説明とともに、前記制度の具体的な内容を紹介する。
 
1.KTC手続の概要
 不公正貿易防止法第4条第1項第1号に基づき、特許権、実用新案権、デザイン権、商標権、著作権、営業秘密等(以下、「知識財産権」という)を侵害する物品を国内に輸入し、若しくは輸入された知識財産権侵害物品を国内で販売する行為、又は知識財産権侵害物品を輸出し、若しくは輸出を目的として国内で製造する行為は不公正貿易行為として禁じられている。知識財産権者又は前記不公正貿易行為を見付けた者は何人も調査申請書にその違反内容を証明できる資料を添えて不公正貿易行為調査を申請することができる。通常、申請人は調査開始決定の日から約10 月以内に最終判定を受けることができる。確認対象物品が知識財産権を侵害するものと判断される場合、KTCは被申請人に対して是正措置を命ずることができ、かかる是正措置には、1当該物品等の輸出・輸入・販売・製造行為の中止、2当該物品等の搬入排除又は廃棄処分、3訂正広告、4法規違反によりKTCから是正命令を受けた事実の公表が挙げられる。また、KTCは侵害行為者に対して侵害品の取引金額の3割又は5億ウォンを超えない範囲内において課徴金を課することができる。

2.既判定物品確認制度
 侵害行為の再発防止とKTCの是正命令の効力を補完するために、法第14 条の2は次の通り規定してい
る。
 (1)KTCから確認対象物品が知識財産権を侵害する旨判定があったときは、何人も第三者によって輸入された類似品
      が前記知識財産権を侵害するかについて確認を求める申請をKTCにすることができる。
 (2)そのとき、KTCによる調査は、前記第三者の物品が知識財産権を侵害するものと既判定された物品と実質的に同
      一であるか否か、且つ第三者が正当な権限を有するか否かに限られる。
 (3)第三者の物品と既判定物品とが同一であるというKTCの判断があった場合、正当な権限なく行われた第三者の行
      為は法第4条第1項第1号により不公正貿易行為としてみなされる。
 
 申請人は第三の侵害者を特定しつつ、彼らの輸出入物品が既判定侵害品と実質的に同一であるか否かの確認を求める申請書をKTCに書面にて提出することで既判定確認手続を行うことができる。当該物品間の同一性を判断するために、KTCは製造業者の一致、主要性状、機能、用途の類否等を考慮することができる(法施行令第11 条の2第2項参照)。KTCの既判定確認手続は、特許侵害及び有・無効に係わる実体的な争点を検討せずに、物品の同一性及び行為者の正当な権限有無のみを確認するため、極めて簡便且つ迅速に進められる。
 
3.事例
 申請人は自分の登録デザイン権の権利範囲に属するものと見られる釣り台ケースを輸入・販売する被申請人に対してKTC調査を申請した。KTCは、申請人のデザイン権が侵害されたと判断しつつ、被申請人に
当該デザイン権が消滅するまで同物品に対する輸入及び販売を中止し、在庫物品を廃棄するとの是正命令を下した。前記KTC判定があった後、申請人は他の輸入業者が類似した釣り台ケースを輸入していることを見付け、当該輸入業者を相手取ってKTC に既判定物品確認を求める申請をした。KTCは、確認対象物品いずれも同じ製造業者によって製造された可能性が高くて、両物品の用途・機能等の主要特性が同一であり、体としての外観のデザインも類似すると判断した。結局、KTCは他の輸入業者にも当該釣り台ケースに対する輸入禁止命令を下した。

4.結論
 前述の通り、KTCの既判定物品確認手続は、KTC手続を通じて既に下された輸出入禁止又は是正命令の効力を、当該侵害品の輸入に係る他の第三者に対しても拡張できる迅速、簡便且つ経済的な方法であると言える。
 
<今月の解説者>
 第一特許法人 会長 金昌世(キム・チャンセ)、韓国弁理士、米国弁護士(NJ, NY)、化学工学博士、ソウル大学校化
 学工学科卒業(B.S.)、米国ロチェスター大学化学工学科卒業(Ph.D.)、米国ニューヨーク州立大のロースクール卒業
 (J.D.)、米国Exxon Chemical 社内弁護士、大宇電子(株)副社長、大宇アメリカ社内弁護士歴任
 (監修:日本貿易振興機構=ジェトロ=ソウル事務所 副所長 笹野秀生)
 
 
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