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File No.75 特許情報からみた中国I T 企業の成長((株)WIPS 戦略企画室 邊泳志(ビョン・ヨンジ)課長) 2015-04-15
2014 年(平成26 年)11月27日(木) The Daily NNA【韓国版】掲載



File No.75 特許情報からみた中国I T 企業の成長

中国情報技術(IT)企業の成長が急である。特に2014 年後半は、サムスンに代表される韓国IT 企業の業績の落ち込みが目立ったが、その韓国企業のシェアを奪っている中国企業のここ数年の成長の要因を、特許情報から読み解いてみたい。
 ここ数年、スマートフォン産業が急成長し、サムスンを中心とする韓国のIT企業は好景気を享受した。しかし、多くの専門は、バイル市場がある程度停滞期に入ったため、スマートフォンの製造と流通を通じては、これまでのような高成長は望めないとの見方を強めている。これには、ファーウェイ(Huawei)、レノボ(Lenovo) 、シャオミ、ZTEなど中国を代表するIT 企業の成長も一役買っている。 中国の中・低価格の携帯市場でのみ通じると思われていた中国の企業が、米国、韓国などのプレミアムフォン
と競っても決して引けを取らないレベルの製品を続々と披露している。
 こうした中国の急速な成長性は特許出願傾向からも伺える。米国に登録され、同時に日本と欧州連合(EU)に出願された3極特許を通じて情報通信技術(ICT)分野における韓・中間の特許出願傾向を調べた結果、韓国人による出願が圧倒的に多いことが分かる。韓国出願人による文献は計1万1,438 件、中国出願人による文献は1,176 件で、韓国出願人によるものが約10 倍高かった。しかし、最近5年間中国人による出願件数が急増している。2000 年代の前半と後半に分け出願件数を比較したところ、韓国人による出願は約2.3 倍増加した反面、中国人による出願は約7.6倍増加している。さらに、技術水準を把握する指標ともいえる平均被引用回数においても韓国(韓国7.2 回、中国4.4回)とそれほど大きな差はないため、特許の品質もまた向
上されているように思われる。実際、最近中国IT企業は、公開している製品ごとに魅力的なデザインや機能を搭載させ、消費者の視線を釘づけにしている。
     

 これらの中国を代表するIT企業の成長は大きく二つの形態をとっている。ファーウェイのように莫大な研究開発投資によって成長の基盤を固める場合と、レノボのように合併・買収(M&A)を通して短期間に市場競争力を確保する場合である。 現在、ファーウェイは 全世界15 万人の職員のうち約45%が研究開発に携わっており、毎年、年間売上の10%以上を研究開発に注ぐなど、ここ10 年間で約190 億米ドルを技術開発に投資している。こうしたファーウェイの研究開発に対する投資は特許出願活動の結果からも伺える。最大IT市場である米国に年平均680 件以上の特許を出願し、今まで合計6,382 件を出願している。一方、レノボは 特許出願件数はファーウェイの約20%でしかないのに対し、特許の購入数において目立つ。現在まで約1,330 件の特許を買収しているが、2005 年に最も多い976件の特許を買収している。これはレノボがIBMのパソコン(PC)事業部を買収した結果によるもので、レノボが今日グローバル企業として成長できた大きな原動力となった。まだ、レノボのM&Aによる成長はそれだけにとどまらない。今年初めにはグーグルからモトローラを買収し、通信関連の特許2,000 件以上を取得した。また、3月には携帯向け無線技術会社アンワイヤード・プラネット(Unwired Planet)が保有する特許を買い取り、10 月には日
本のNECの携帯電話関連特許3,800 件を買収したと発表した。 
 このように中国IT企業は、研究開発投資およびM&Aを通じて必要な要素技術を確保していき、価額競争力の上に製品競争力まで強めている。また、中国政府の科学技術に対する積極的な投資に支えられ、中国IT企業の成長はますます加速している。中国へ輸出される割合の中、ITの占める割合が高い韓国としては、すぐ後に迫る中国企業の成長はとても脅威的である。 韓国がこれからITC分野で中国との競争において優位を占めるためには、既存の製品の領域から切り抜き、一歩進む必要がある。すなわち、ハードウエア分野で新たな新成長動力を発掘し,これを中心に プラットホーム、コンテンツが連携する新サービス領域を創り出すなどの特段の努力が必要であるように思われる。

<今回の解説者>(株)WIPS 戦略企画室 邊泳志(ビョン・ヨンジ)課長1980 年生まれ、’05 年九州大学法学部卒業、’07 年九州大学大学院卒業、’07 年から技術経営コンサルティング業務を経て現職
(監修:日本貿易振興機構=(監修:日本貿易振興機構=ジェトロ=ソウル事務所 副所長 笹野秀生)
 
 
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