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File No.74 ジェネリック医薬品へのアメとムチ ~医薬品許可-特許連携制度~(リ・インターナショナル特許法律事務所 生命科学チーム・チーム長 安常吾(アン サンオ)弁理士) 2014-12-12
2014 年(平成26 年)11月12日(水) The Daily NNA【韓国版】掲載



File No.74 ジェネリック医薬品へのアメとムチ ~医薬品許可-特許連携制度~

 韓米自由貿易協定(FTA)に伴い導入され、一部の施行が3年間猶予されていた医薬品-許可特許連携制度が、来年3月15 日に本格施行されるため、関連法である薬事法の改正が進められている。この制度は、新薬特許の存続期間中に後発医薬品(ジェネリック医薬品)に対する市販許可が申請された場合に、新薬特許権者は後発医薬品の販売制限を申請することができる
が、特許挑戦に成功した最初のジェネリック医薬品許可申請者には、優先販売品目許可を付与するものである。以下、2014 年7月25 日付薬事法再立法予告案にもとづき、その概略をみる。

【1】新薬品目許可権者による医薬品特許情報の医薬品特許目録(グリーンリスト)への登載(2012.3.15 施行)
 新薬の品目許可権者は、特許権者および専用実施権者の同意を得て、品目許可日または特許登録日から30 日以内に医
薬品特許情報をグリーンリストに登載することを申請できる。グリーンリストには製品名、許可関連情報、医薬品関連特許権情報(特許番号、存続期間満了日、該当請求項および記載事項に関する情報など)が掲載される。変更許可を得た場合には、その日から30 日以内に登載申請しなければならないが、医薬品名称の変更、特許番号の変更、特許請求項の追加は、登載申請期間内にてのみ可能である。食薬処は申請後45 日以内に登載するか否かを決定しなければならない。医薬品特許情報のグリーンリストには現在(2014.10.15)基準で全1,570 件の医薬品特許情報が登載されており、これらは食薬処のホームページ<
http://medipatent.mfds.go.kr >で確認できる。

【2】 後発医薬品品目許可申請者による品目許可申請事実の通知、および特許権者の販売制限申請(申請事実の2012.3.15 施行、販売制限 2015.3.15 施行予定)
 後発医薬品品目許可申請者は例外的な場合(特許存続期間満了後に販売のために申請した場合、または特許権者が通知しないことに同意した場合など)を除き、許可申請日から20 日以内に許可申請事実、許可申請日などを品目許可権者および特許権者に通知しなければならない。新薬特許権者は、通知を受けた日から45 日以内に特許侵害禁止(予防)請求訴訟または権利範囲確認審判を提起または応訴し、販売制限を申請することができる。これに対し食薬処長は、申請期間未遵守、消滅した特許にもとづく申請、特許訴訟または審判を提起しない場合、グリーンリスト不正登載、特許法第106 条の2第1項に該当する場合などを除き、販売制限が申請された医薬品の販売を制限しなければならない。このような販売制限は、通知を受けた日から12 カ月目となる日、特許無効審決または判決日、権利範囲に属さないという審決または判決日、特許存続期間満了日、品目許可消滅日などのうち、最も早く訪れた該当日に消滅する。

【3】特許挑戦に成功した最初の後発医薬品申請者に付与される優先販売品目許可(2015.3.15 施行予定)
 特許挑戦(特許無効審判など)に成功した最初の後発医薬品品目許可申請者に、他のジェネリック医薬品に対する1年の優先販売独占権を付与する制度である。新薬特許権者に通知された品目許可申請をした者のうち、次の二項目を満たす該当者は、登載医薬品の安全性・有効性に関する資料にもとづき、品目許可を申請した他の医薬品の販売を12 カ月間制限できる。
 
(1)最初に許可を申請した者(同日付申請者を含む)
(2)特許無効審判、特許存続期間延長登録無効審判または権利範囲確認審判を請求または提訴して勝訴審決または判決を受けた者(品目許可申請以前に請求または提起して品目許可申請後に勝訴審決または判決を受けた場合も含む)のうち、最初に審判を請求した者、およびそれから14日以内に請求した者販売が制限される医薬品は、優先販売品目許可医薬品と
(i)主成分およびその含量、(ii)剤形、(iii)用法・用量、および(iv)効能・効果が同一な医薬品を意味する。他の医薬品の販売に対する制限は、優先販売品目許可の消滅、登載された特許権の消滅、許可日から2カ月以内に販売されない場合などに該当すれば消滅する。2015 年3月15 日に本格施行予定の本制度には、グローバル製薬会社に代表される新薬特許権者と、主に後発医薬品開発者の位置にある国内製薬会社との立場が対立しており、国内の製薬産業および医薬品の最終消費者である国民全体に及ぼす影響も少なくないものと思われ、後発医薬品の販売制限のための新薬特許権者の攻勢、および優先販売品目許可を獲得するための後発医薬品開発者間の競争も熾烈化する見通しである。薬事法は2014 年3月21 日の立法予告、2014 年7月25日の再立法予告を経て法制処の審査が終了し、この後次官・国務会議を経て国会審議がなされる予定であり、FTAの履行のため、迅速な対応が求められている。

<今回の解説者>リ・インターナショナル特許法律事務所 生命科学チーム・チーム長 安常吾(アン サンオ)弁理士
1967 年生まれ 仁荷大学校 生物工学科卒業 2004年弁理士資格取得、1994 年からリ・インターナショナル特許法律事務所にて化学・生物分野業務を担当
(監修:日本貿易振興機構=ジェトロ=ソウル事務所 副所長 笹野秀生)
 
 
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