韓国と日本の商標制度の違い

当社は、日本における商標の出願および登録の経験がありますが、韓国へ商標を出願した経験はありません。このたび、
韓国への商標出願を考えているのですが、日本の商標出願と比べて特に注意しなければならない事はあるのでしょうか。

日本と韓国の商標制度には似た点が多いため、韓国での商標出願をする場合に、日本での商標出願と比べて特別な
注意を必要とする点は、ほとんどないと考えても構いません。従って、日本で商標出願の経験のある方は、その経験と
照らし合わせながら韓国の商標出願手続を行えば大きな混乱はないと思われます。
   

解説:
主要な制度上の違いについて、次に説明します。
両国の商標制度が似ているとはいえ、具体的な内容においては違いがありますので、日本の特許庁では特に問題なく登録された商標または商品名称であっても、韓国特許庁からは問題が指摘される可能性は充分にあります。
ただ、商標出願において解消のできる問題に対しては、韓国特許庁から問題解消の機会が与えられるため、商標の本質に関わる理由ではなく、技術的な問題を理由に商標出願および登録の手続において解消し難い問題が発生するなどの心配をする必要はありません。

日本と韓国の商標制度の主要な相違点

< ホログラムや動作の商標(韓国)>
日本では、現在の商標法によればホログラムなど動作商標は認められていません(日本特許庁では、その導入に対する検討を行っていると言われています)。
一方、韓国では、最近の技術発展などに伴い、典型的な商標以外にホログラム、動作商標などの非典型的な商標も有益に利用されていることを考慮し、2007年の商標法改正により、ホログラム、動作商標を商標法上の保護対象となる標章として規定し、商標法による保護が可能となっています。

< 異議申立て制度(韓国)>
日本の場合、商標が登録された後に、登録商標に対する内容を商標公報に公告して第三者に異議申立ての機会を与えますが(登録後異議)、韓国の場合、商標審査を通過した出願商標の内容を商標公報に公告して第三者に異議申立ての機会を与え、その後、異議申立ての有無または異議申立ての結果に応じて拒絶決定または登録決定がなされます(登録前異議)

< 出願公開制度(日本)>
日本の場合は、日本商標法第12条の2の規定により出願公開制度を設けています。同規定によれば、出願公開は「一 商標登録出願人の氏名又は名称および住所又は居所、二 商標登録出願の番号および年月日、三 願書に記載した商標、四 指定商品又は指定サービス業、五 前各号に掲げるもののほか、必要な事項」を商標公報に掲載する方式によってなされます。このような出願公開がなされる時期については、明確な規定がありませんが、実務上としては特別な事情がない限り、出願日から6ケ月以内に出願公開がなされます。
一方、韓国の商標法では、出願公開制度は設けられていません。しかし、運用により韓国特許庁は、インターネット上のKIPRISシステム(http://eng.kipris.or.kr/)で出願状況・審査状況・登録状況を公開しています。

<登録料の納付時期と分納制度>
日本の場合、商標登録査定の謄本を受け取った日から30日以内に登録料を納付しなければならず、1回に限り30日延長することができます。
また、登録料を分割納付する制度が規定されています(日本商標法第41条の2)。1回目の商標登録料を上記30日以内に納付し、存続期間の満了前5年までに残りの登録料を納付することが可能です。そして、残り5年分の登録料を納付しない場合、残り5年間の商標権が消滅するものとして取り扱われます。
一方、韓国の場合には、商標登録料は登録決定謄本を受け取った日から2カ月以内に登録料を納付しなければならず、納付期間を延長したい場合には、1回に限り30日以内で延長することができます。
また、現行の韓国商標法の下では、日本とは異なり商標登録料10年分を一度に納付することだけができますが、2010年6月から商標登録料の分割納付制度の導入により日本と同様に韓国でも設定登録時に1回目の商標登録料を納付して商標権の存続期間の満了前5年までに2回目の商標登録料を分割して納付することも可能となります。

その他の点については、JETRO作成の下記の対比表を参照ください。(模倣対策マニュアル・韓国編 2010年3月版に掲載)

項目 韓国 日本
保護対象 記号、文字、図形、立体的形状、色彩、ホログラム、動作、又はこれらを結合したもの、その他視覚的に認識できるもの 文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合
商標などの
類否の判断時
先登録商標などとの類否判断時点は出願時(先登録の取消しや抹消後に再出願必要) 先登録商標などとの類否判断時点は査定時(先出願の取下げや先登録の取消しにより、原則そのまま後出願が登録)
無効審判請求
登録前使用権
関連規定なし 無効審判の請求登録前の使用による商標の使用権の制度あり
顕著な
地理的名称
顕著な地理的名称などの商標は登録不可
地理的表示団体標章として可能
法律上の規定なし
運用で登録不可
団体標章
業務標章
団体標章、業務標章制度あり 団体商標制度あり
防護商標 関連規定なし 防護標章制度あり
出願変更 商標とサービスマークと団体標章間で
出願変更可
通常商標と団体商標間で出願変更可
通常商標と防護標章間で出願変更可
防護標章と団体商標間で出願変更可
出願公開制度 法律上の制度はないが、
運用によりネット上で出願状況を公開
法律上の制度あり
登録料
納付時期
登録決定謄本送達後2ヶ月以内 登録決定謄本送達後30日以内
登録料
分納制度
なし あり
補正後の商標
についての新出
願に対する出
願日遡及
なし あり
異議申立 出願公告後2ヶ月以内
(登録前異議申立)
審査官合議体で決定
参加制度なし
申立期間終了後30日以内に理由補充可
さらに1ヶ月1回のみ延長可
商標掲載公報発行日から2ヶ月以内
(登録後異議申立)
審判官合議体で決定
参加制度あり
申立期間経過後30日以内に理由補充可
不使用取消
審判の請求人
利害関係人であること 何人も可能
不使用取消審
判の商標使用
の同一性範囲
規定なし  
 
2010.04.01 掲載
解説者:
特許法人ムハン
代表弁理士 丁泰栄 (ジョン・テヨン) 氏


無断転載を禁ずる
掲載した情報は、ジェトロソウルセンターが入手している情報に基づくものであり、その後の法律改正等によって変わる場合があります。また、コメント等は著者及び当機構の判断によるものですが、一般的な情報・解釈がこのとおりであることを保証するものでないことを予めお断りします。
 
 
ニセモノ撲滅キャンペーン