商標  特許法院
原告 アウトバック・ステーキハウス・オブ・フロリダ, LLC VS 被告 個人ら 2016ナ1691
2017-06-29 上告審係属中
【事実関係】
1988年に米国で設立され、韓国を含む世界20カ国以上で「アウトバック」、「アウトバック・ステーキハウス」という商号でファミリーレストランを運営する原告は、43類に属するレストラン業等を指定サービス業とする「」「」 「」等の標章に対するサービスマーク権者として、「アウトバック」または「アウトバック無人テル」という商号で無人宿泊施設を運営し、宿泊施設の看板、表示板などの外部施設及び建物内案内板、価格表、寝具類、洗面道具などの内部施設、備品などに被告標章を表示して使用している被告らに対して、被告標章の使用行為はサービスマーク権侵害、不正競争防止法上の営業出所の混同行為あるいは識別力・名声損傷行為に該当することを理由に被告標章の使用中止を求める訴訟を提起し、一審法院は原告の主張を受け入れて被告標章の使用中止及び損害賠償を認める趣旨の判決をした。本件は、これに対して被告らが控訴した事件である。

【判決内容】
(1)被告標章の使用行為が原告の登録サービスマークに対する侵害に該当するか否か
被告らの標章使用行為が原告の登録サービスマークに対するサービスマーク権侵害に該当するためには、被告らが標章を使用したサービス業である「無人宿泊業」が原告の登録サービスマークの指定サービス業である「レストラン業」などと同一または類似するものでなければならない。両サービス業の類否を詳察すると、顧客に衣食住の一部を提供するという点ではサービスの性質や内容が類似して需要者が共通すると言える余地があるが、i)サービスの提供方法(対面サービスと無人サービス)及び具体的な性質・内容が異なり、ii)需要者の側面でも飲食をする者と宿泊をする者に区分され、iii)両サービス業の提供が同一の営業主体によってなされることが一般的な取引実情や一般需要者が通常そのように考えるとは言い難いところ、両サービス業は互いに類似すると言えず、従って、被告標章の使用行為が原告の登録サービスマークに対する侵害に該当すると言うことはできない。

(2)被告標章の使用行為が不正競争防止法上の営業主体混同行為に該当するか否か
1)関連法理
不正競争防止法第2条第1号ロ目 に該当するためには、i)原告標章が広く認識されたものであるか、ii)原告標章と被告標章が互いに類似するか、iii)被告らの営業行為によって需要者に営業の出所について混同を生じさせたか、などを判断しなければならない。

2)原告標章が国内に広く認識された営業標識か否か
原告の国内営業期間、原告標章の使用期間・方法・態様、広告現況、売上規模、市場内の認知度、ファミリーレストランの場合、需要者の年齢、性別が特に制限されない点、原告の店舗が全国に均等に分布している点などを総合すれば、原告標章は国内に広く認識された営業標識に該当すると言える。

3)営業主体の混同が発生するか否か
先に詳察したとおり、原告標章は著名性を獲得しており、その識別力も強く、被告標章の要部は原告標章の要部である「OUTBACK」と同一なので標章もまた同一なだけでなく、両標識の類似性に照らしてみると被告らの悪意も推定される。しかし、ファミリーレストラン業と無人宿泊業は類似の役務に該当するとは言い難く、ファミリーレストラン業を運営する営業主体が無人宿泊業へと事業の多角化を図ることが一般的な傾向であるとは言い難い点などに鑑みると、両サービス業間には競業・競合関係が存在するとは言えず、被告らの営業規模は原告の営業規模に比べて非常に小さい水準に過ぎず 、原告は全国に80ヵ所余りの店舗を運営しながら有名芸能人をモデルにした広告、社会貢献活動などを通して名声・信用などを獲得していた点に照らしてみれば、一般需要者に否定的なイメージを持たれている無人宿泊施設を原告が直接運営したり原告と密接な関係がある者が運営するなどと誤認する可能性は非常に低いと言える。

4)小結論
したがって、原告標章の周知性及び識別力、両標章の類似性、被告らの悪意にもかかわらず、被告標章の使用によって原告の営業との関係で営業主体に関する混同が発生するとは言い難い。

(3)被告標章の使用行為が不正競争防止法上の識別力・名声損傷行為に該当するか否か

1)関連法理
不正競争防止法第2条第1号ハ目 で不正競争行為として規定している名声を害する行為とは、著名な程度に至った特定の標識を否定的なイメージを有する役務に使用することによってその標識が有する良いイメージ及び価値を損傷させることを言い、このような著名な程度に至った標識の識別力や名声が損傷されたとするためには、その営業標識が必ずしも同種・類似関係または競合関係にあるサービス業に使用された場合でなければならないわけではない。

2)被告標章の使用行為が原告標章の識別力・名声を損傷させるか否か
i)原告は、原告標章を独自に創案し、全国の店舗で持続的に使用して全国的な識別力を獲得した点、ii)原告は店舗のインテリア、ホームページ、有名芸能人をモデルにした広告、社会貢献活動などを通して家族中心的で自然にやさしいファミリーレストランとしての名声と信用を維持している点、iii)否定的なイメージを有している無人宿泊施設に原告標章と非常に類似の標章を使用し、被告標章の上段には裸体の女性が横たわっているような扇情的な形状を使用したという点などを総合すれば、被告らは著名な原告標章を否定的なイメージを有するサービス業に使用することによって、その標識が有する良いイメージ及び価値を損傷させたと言え、その出所表示機能までも損傷させたと言える。

3)小結論
したがって、被告標章を使用する行為は、不正競争防止法上の識別力・名声損傷に該当する。

(4)結 論
先に詳察した通り、被告標章の使用行為は、原告登録サービスマークに対する侵害あるいは不正競争防止法上の営業出所の混同行為には該当しないが、不正競争防止法上の識別力・名声損傷行為に該当するので、原告はこれに基づいて被告標章の使用中止及び損害賠償を請求する権利を有する。

【専門家からのアドバイス】
周知・著名商標の権利者であれは、経済的関連性がない商品・役務に対してパロディという名目で使用される模倣商標による紛争を一度は体験するであろう。本事案でのように、権利者の商標が著名で、侵害者が否定的なイメージを有する商品・役務に使用する場合には、不正競争防止法上の識別力・名声損傷行為に基づいてその使用中止を請求することができるが、権利者の商標が著名であると言うには不十分であったり、侵害者が使用する商品・役務が一般需要者に否定的なイメージを有するものではなかったりする場合には、不正競争防止法上の識別力・名声損傷行為に該当すると認められることは容易でない。また、本事案でのように、両商品・役務が互いに類似していない場合には、商標権侵害あるいは不正競争防止法上の営業出所の混同行為に該当するということも認められるのが難しい。従って、模倣商標に対してより効率的に対応するためには、登録商標の指定商品・役務をできるだけ幅広く指定して登録することが好ましい。ただし、この場合、韓国の商標法には防護商標制度が存在しないため、不使用取消審判により登録商標が取り消されるおそれがあるので、定期的に新規商標を出願しなければならないという点も念頭に置いておく必要がある。

 
 
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