著作権  ソウル高等法院
A社 vs B社 2015ナ2063761号
2017-07-28 上告審係属中
【事実関係】
原告A社はコンピュータビデオゲーム業を営むマルタ共和国所在の法人であって、2013年4月頃「ファーム・ヒーロー・サガ(Farm Heroes Saga)」というゲームを開発し、フェイスブックのプラットフォームを通じて全世界にリリースした。原告A社のゲームの基本方式は、特定のブロックを3個以上一直線に並べると、ブロックが消滅しその数だけ該当ブロックの点数を獲得する方法で、各段階ごとに与えられる目標ブロック数に達するようにする「マッチ3ゲーム」の基本形式を取るが、上記のようにブロックの消滅時、隣接するブロックの点数が高くなるようにする規則など、ゲームの段階ごとに新たな規則を追加し、目標達成を妨害する特定の障害物を追加すると同時にこのような障害物を無力化させたりその他に特定の成果を出せるように助けるアイテムを提供し、これを購入できるように考案されたパズルゲームである。
 被告B社は、原告A社のゲームの基本方式と同一の方式を採択しているマッチ3ゲームである「フォレスト・マニア(Forest Mania)」というゲームを開発し、2014年2月頃から提供している。
 原審判決 は、ゲームの特徴的な規則などが著作権で保護される表現形式に該当し得るかに対しては消極的に見て著作権侵害は認めなかったが、問題になるゲームが特徴的な面などでほぼ類似すると認められる場合、不正競争防止法第2条第2項ヌ目の不正競争行為には該当し得ると見て原告の請求を認容した。

【判決内容】
控訴審法院の判断は次の通りである。
1.原告ゲームと被告ゲームが実質的に類似しているか
ゲームは多様な素材又は素材著作物からなる結合著作物又は編集著作物として、ゲーム規則は抽象的なゲームの概念やジャンル、ゲームの展開方式などを決定するツールとしてゲームを構成する1つの素材であるだけで、著作権法上独立的な保護客体である著作物には該当しない一種のアイデア領域に該当し、アイデアはたとえそれが独創的なものであるとしても著作権法で保護されず、原則的に誰でも利用可能な公共の領域に該当するので、ゲームが市場にリリースされれば特別な事情がない限り、他人が類似のゲーム規則に基づいて他のゲームを開発するのを著作権によって禁止することはできない。さらにゲームの主題や方式が既に慣行化されたゲーム様式に従ったものであれば、いわゆる「ありふれた情景の理論(scene a faire doctrine)」が相当な程度に適用されて非常に精密な部分まで複製がなされていない限り著作権の保護が排斥されるので、単に感じが同じであるとか雰囲気が類似するということだけを著作権侵害の根拠として見なすこともできない。
 原告は、ゲーム規則の組合わせ及び配列も視覚的デザインと別個に著作権の保護対象である表現と見なければならず、原告ゲームの創作性は規則の選択・配列・組合わせの全体として判断すべきものなので、これを各画面構成及びデザイン、特殊規則、ボード構成に分解して創作性があるとか、アイデアか表現かを判断することは妥当ではないという趣旨でも主張している。しかし、ゲーム規則の組合わせ及び配列そのものはアイデア領域に属するものであり、著作物の創作的表現は種々の創作的要素が集積されてなされるものであるので、原告ゲームと被告ゲームの共通部分を表現と見ることができるか、また、表現上の創作性を有するかを判断する場合、その構成要素を分析してそれぞれに対して表現であると見ることができるか又は表現上の創作性を有するかを検討することが妥当である。さらに、著作物の実質的類似性を判断するにおいて全体的な観念と感覚によって判断する場合、全体的な観念や感覚の類似性は著作権で保護を受ける表現の類似性だけでなく著作権によって保護を受けられないアイデアの類似性によって発生する可能性があり、その結果、著作権の保護範囲をアイデアまで拡張する結果をもたらすようになるため不当であるといえる。本件の場合にも、原告ゲームと被告ゲームが類似するという感じを与えるものは主にゲーム規則などによるものであって、これはアイデアの領域に属するといえる。従って、この部分の原告の主張は受け入れられない。

2.原告の成果物無断使用行為による不正競争行為又は不法行為の成否
不正競争防止法の目的は、健全な取引秩序の維持にあるが(第1条)、従来のように急速に変化する取引の現実において、条文上の規定が必要になる度に不正競争行為に該当する類型を追加する立法方式では、そのような目的規定と不正競争行為の個別規定との間に間隙が生じざるを得ないので、2013年7月30日に改正(2014年1月31日施行)された不正競争防止法は第2条第1号イ目~リ目の不正競争行為以外に不正競争行為に関する補充的一般条項として「他人の相当な投資又は労力により作成された成果などを公正な商取引慣行又は競争秩序に反する方法により自身の営業のために無断で使用することにより、他人の経済的利益を侵害する行為」を不正競争行為の1つと規定する第2条第1号ヌ目を新設した。
 特許法、著作権法など知識財産権法は、他人の投資又は労力により作成された成果を使用する行為の中で他人の知的創作活動又は営業上の信用に便乗するのを防止するために各種知識財産権を創設し、他人の成果を保護すると共にその限界を設定している。従って、そのような知識財産権による保護の対象にならない他人の成果を利用することは本来自由に許容されるといえ、また、自由競合社会は企業をはじめとした全ての者の競争参加機会に対する平等性の確保と自己行為の結果に対する予測可能性を前提として成立するものなので、このような行為に対する法規範は明確でなければならず、解釈によって広範囲な法規範創設機能を発揮しうる一般条項を適用するにおいては原則的に慎重を期さなければならない。
 従って、知識財産権法によって保護されない他人の成果である情報(アイデア)などは仮にそれが財産的価値を有するとしても自由な模倣と利用が可能であるといえるが、そのような他人の成果の模倣や利用行為に公正な取引秩序及び自由な競争秩序に照らして正当化され得ない「特別な事情」がある場合であって、その知的成果物の利用行為を保護しなければその知的成果物を創出したり顧客吸引力のある情報を獲得した他人に対するインセンティブが不十分になることが明白な場合などには、そのような模倣や利用行為は許容されないといえる。即ち、取引慣行上顕著に不公正であるといえる場合であって、窃取など不正な手段によって他人の成果やアイデアを取得したり先行者との契約上の義務や信義則に顕著に反する様態の模倣、健全な競争を目的とする成果物の利用ではなく、意図的に競争者の営業を妨害したり競争地域で廉価で販売したり、単に損害を行目的に成果物を利用する場合、他人の成果に基づいて模倣者自身の創作的要素を加味する、いわゆる隷属的模倣ではなく他人の成果を大部分そのまま持ってきて模倣者の創作的要素がほぼ加味されない直接的模倣に該当する場合などには、例外的に他人の成果の模倣や利用行為に公正な取引秩序及び自由な競争秩序に照らして正当化され得ない「特別な事情」があるものと見て民法上不法行為又は不正競争防止法第2条第1号ヌ目で規定する不正競争行為に該当すると見ることが妥当である。
 本件について見ると、たとえ原告と同じゲーム提供業者として競合関係にある被告が原告ゲームのように基本的にマッチ3ゲーム形式を取りながら追加で原告ゲームのゲーム規則と同一のゲーム規則などを用いて原告ゲームの人気に一部便乗した部分があるとしても、それ以外には被告側の独自のアイデアに基づいて被告側の費用と労力をかけて、原告ゲームと実質的に類似すると見られないだけでなく原告ゲームに存在しない多様な創作的要素を有する被告ゲームを製作してゲーム利用者に提供したものであるので、被告側のこのようなゲームの創作及び提供行為は原告の著作権を侵害しない限度では原則的に許容される行為としてそれが公正な競争秩序に反するとは言い難く、その他にこれを認める証拠がない。従って、被告の上記のような行為が不正競争防止法第2条第1号ヌ目の不正競争行為や不正な競争行為として一般不法行為に該当することを前提とする原告の主張もさらに詳察するまでもなく理由がない。
 そうであれば、原告の請求は理由がない。これと結論を一部異にした第1審判決は不当なので第1審判決のうち被告敗訴部分を取り消し、その取消部分に該当する原告の請求を棄却する。

【専門家からのアドバイス】
上記事件第1審判決では、被告ゲームが原告ゲームとの関係で著作権侵害は認められなかったが、原告が本件ゲームに導入した規則などは相当な投資又は労力により作成された成果であるところ、被告がこれを公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で無断使用することによって両ゲームがほぼ類似する点を考慮して不正競争防止法上の、いわゆる「一般条項」(第2条第1号ヌ目)で被告の行為を擬律した。ところが、今回の控訴審判決では不正競争防止法上の一般条項と関連し、他の知識財産権法との関係を考慮して他の知識財産権法の権利侵害が成立しない場合には取引慣行上顕著に不公正であると見ることができる「特別な事情」がある場合に限定してのみ不正競争行為の成立を認めることができるという法理を展開し、1審判決を取り消した。不正競争防止法上の一般条項(第2条第1項ヌ目)が2014年1月31日付で施行された後このような類型の事件における法院の判決傾向を十分に詳察することができる判決である。本件は大法院へ上告されており大法院の判断が最終的にどのように下されるか大いに関心をもって見守りたい。
 一方、ゲーム著作権と関連しては、控訴審判決は第1審判決と著作権非侵害という結論において変わりがないが、著作権侵害判断において二大方法論といえる「全体的判断方法(total concept and feel test)」と「分解式判断方法(dissection approach)」のうち後者に近い判示をしていることが興味深い。
 
 
 
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