商標  特許法院
原告 個人 vs 被告 個人 2016ホ8841
2017-05-12 上告審係属中
【事実関係】
1951年から「サリウォン麺屋」という商号で大田で冷麺店を営んできた原告は、「サリウォン麺屋」という標章を商品類区分第43類に属する冷麺専門食堂業を指定サービス業として1994年6月7日に出願し、1996年7月30日に登録を受けた商標権者であるが、「サリウォンプルゴギ(사리원불고기)」という商号でソウルで焼肉専門店を運営していた被告に対して商標権侵害差止を主張する内容証明郵便を送ったところ、被告が本件登録商標に対して「本件登録商標のうち『サリウォン』部分は北朝鮮の都市名『沙里院』に当たるので、旧商標法(2016年2月29日法律第14033号で全部改正される前のもの、以下「旧商標法」)第6条第1項第4号の顕著な地理的名称のみからなる商標に該当して、その登録が無効とされるべきである」としながら無効審判を請求した。特許審判院は「サリウォン」は北朝鮮の都市を指す地名ではあるが、国内一般需要者間に顕著に認識されている地理的名称と見ることはできないとしながら原告の請求を棄却する審決をし、これに対し原告が審決取消訴訟を提起した事件である。

【判決内容】
(1)関連法理
旧商標法第6条第1項第4号は、顕著な地理的名称・その略語または地図のみからなる商標は登録を受けることができないと規定しているが、「顕著な地理的名称」とは、国内の一般需要者や取引者に広く知られている地理的名称をいい、一方、商標が旧商標法第6条第1項4号に該当するかに関する判断の基準時点は、原則的に商標に対する登録如何の決定時となる。
(2)法院の認定事実
i)「サリウォン」は北朝鮮の黄海道に位置した地域の名称として、1947年に市に昇格した後、1954年に黄海北道の道庁所在地となった、ii)国内の小・中・高校の教科書において「サリウォン」について黄海北道の道庁所在地であり、交通の要地であるとの内容が記載されている、iii)「サリウォン」関連の新聞記事は1920年代から1940年代に集中しており、本件登録商標の登録如何の決定時点である1996年には36件の記事が検索されるだけである、iv)原告と被告がそれぞれ実施した「サリウォン」という名称に対する需要者認識調査でサリウォンを地名として認識しているという回答者の割合は19.2%(原告調査結果)、16.5%(被告調査結果)に過ぎなかった。
(3)「サリウォン」が顕著な地理的名称に該当するかどうか
i)旧商標法第6条第1項第4号に該当するかは、本件登録商標の登録決定日である1996年6月26日当時の一般需要者を基準に判断しなければならない点、ii)「市、郡、区単位の地名は顕著な地理的名称に該当する」と説示している特許庁の商標審査基準は、審査処理手続での便宜上、例示しておいたものに過ぎないので、これにより画一的に判断されることはできないという点、iii)「サリウォン」が教科書に記載されており、関連する新聞記事が検索されるという事実だけでは「サリウォン」が地理的名称として広く知られているとは断定し難いという点、iv)原告と被告が実施した認識調査で「サリウォン」を地名として認識している回答者の割合が低い点、v)認識調査が登録如何の決定日である1996年ではなく2016年になされたものではあるが、インターネットの発達によって情報に対する接近性がはるかに容易になった現在の状況を考慮してみると、1996年の需要者が2016年の需要者よりさらに高い割合で「サリウォン」を地名として認識していたとは言い難いという点などを総合的に考慮すると、「サリウォン」はその登録如何の決定時点において顕著な地理的名称に該当すると見ることができない。
(4)結論
従って、本件登録商標は、旧商標法第6条第1項第4号の顕著な地理的名称のみでなされた商標に該当しない。

【専門家からのアドバイス】
顕著な地理的名称でのみ構成された商標の場合、その顕著性と周知性により商標の識別力を認めることができないため、誰にでも自由な使用を認め、特定個人だけに独占使用権を付与しないとすることにその規定の趣旨がある。本案では、本件登録商標である「サリウォン」は9つに過ぎない北朝鮮の道庁所在地の1つである都市の地域名として、北朝鮮の需要者には当然ながら顕著な地理的名称として認識されているにもかかわらず、韓国の一般需要者の基準に従って顕著な地理的名称に該当しないと判断したが、これは旧商標法第6条第1項第4号に該当するかどうかを大韓民国全体ではなく韓国の一般需要者を基準にして判断したことから、北朝鮮の地域名も他の外国の地名と同一に見ていることを示唆している。したがって、実務上においても、ある商標が顕著な地理的名称に該当するか否かの判断基準の対象は、あくまでもその国の一般需要者であり、その一般需要者に広く知られているかどうかが重視されることを再確認した事例と言えるであろう。

 
 
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