特許  大法院
原告、被上告人 出願人 vs 被告、上告人 特許庁長 2014フ1563
2017-04-07 原審破棄及び差戻し

【事実関係】
-翻訳文提出/国際出願/優先権主張:2008年3月7日/2006年9月8日/2005年9月10日
-意見提出通知/拒絶決定:2012年12月31日/2013年5月30日
-拒絶決定不服審判請求/審決(請求棄却):2013年6月3日/2013年9月5日
-審決取消請求/判決(請求認容):2013年11月12日/2014年7月4日

原告は、出願発明(出願番号第10-2008-7005741)の出願人であり、特許請求の範囲第12項(2013年6月4日付で補正)には、「Xは同じであっても異なってもよく、追加のラジカルとして水素原子、1~20個の炭素原子を有する基、望ましくは分岐または非分岐アルキルまたはアルコキシ基、またはアリール基を有する、酸素、硫黄またはアミノ基であり」という記載が含まれていた。これに対して、「望ましくは」という表現が不明確であることを理由に拒絶決定され、拒絶決定不服審判で請求が棄却された。原告は、これを不服として控訴したが、特許法院では、本件出願発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、「望ましくは」を基準として、その前の部分である「1~20個の炭素原子を有する基」が、その後の部分である「分岐または非分岐アルキルまたはアルコキシ基」を含む広い概念として、「分岐または非分岐アルキルまたはアルコキシ基」はその前に記載した「1~20個の炭素原子を有する基」の例を示した記載であることを容易に把握できるという理由で請求を認容した。この原審判決に対して被告である特許庁長が上告した。

【判決内容】
「1~20個の炭素原子を有する基」と「分岐または非分岐アルキルまたはアルコキシ基」が二重限定を示す用語である「望ましくは」で互いに結ばれている。このような記載は、第12項の発明に記載された「X」が「1~20個の炭素原子を有する基」全体を意味するのか、あるいは、そのうち「分岐または非分岐アルキルまたはアルコキシ基」を意味するのかが必ずしも明確でなく、特許請求の範囲を巡って紛争が生じる余地がある。このように特許請求の範囲の記載内容が見方によって多様な方式で解釈され得る場合には、特許請求の範囲として要求される明確性と簡潔性の要件が満たされていないと見るべきである。
また、本件出願発明の明細書のうち発明の詳細な説明には本件記載と同一の内容のみが記されているだけなので、このような発明の詳細な説明を参酌するとしても、「X」がいずれを意味するかが依然として明確でない。
従って、原審判決には旧特許法第42条第4項第2号に関する法理を誤解して判決に影響を及ぼした誤りがある。この点を指摘する上告理由の主張は理由がある。

【専門家からのアドバイス】
拒絶決定不服審判について大法院までいくケースはそう多くない。特に、特許庁側で上告するケースは稀なことを考慮すると、本判決は特許庁の確固たる立場を表明したものであり、これに対して大法院が軍配を上げたものと理解される。
 韓国特許庁の審査基準では、「望ましくは」は発明を不明確にする表現として明示しており、請求の範囲に記載されてはならないという点が今回の大法院判決によって確認された。したがって、出願人は特許請求の範囲を記載する際、広い範囲の表現を記載した請求項を設けるとともに、これをさらに限定する狭い範囲の表現を記載した別個の請求項または従属項を設けるようにして、請求の範囲に求められる明確性と簡潔性の要件を満たすべく留意する必要があろう。
さらに、明細書の記載を参考にしてもなお請求の範囲が不明確であると指摘された点についても今一度心に止めておきたい。当業者であれば「望ましくは」の使用意図が容易に類推可能であるとしても請求の範囲の構成要素について限定条件を付加したい場合には明細書で具体的かつ多角的に言及しておく必要がある。


 
 
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