特許,職務発明 大法院
原告、上告/被上告人(従業員) vs. 被告、上告/被上告人(会社) 2014ダ220347
2017-01-25 確定
 
【事実関係】
原告は、被告会社に在職中に職務発明である本件第1、2特許発明を完成した後、これについて特許を受けることができる権利を被告に譲渡し、この特許発明に基づいて被告に1億1000万ウォンを支払えという訴えを提起した。第1審は、原告の請求のうち第2特許発明に基づいた請求を認容し、被告に1092万5589ウォンを支払えと判決し、そこで原告と被告の両者は敗訴部分に対してそれぞれ控訴した。これに対し、第2審は、第1、第2特許発明のいずれにも補償金義務を認めたが、独占権寄与率を0.2%と認めて補償金の金額は2185万1179ウォンと判示し、そのため、原告と被告の両者ともに上告した。
 
【判決内容】
(1)無効事由がある職務発明の補償金支払い義務
本件第1特許発明は、原審判示の比較対象発明1、2及び周知慣用技術を結合して容易に導き出すことができると見る余地があるので、その進歩性が否定されて無効となる可能性がある。しかし、上記のような無効事由の存在だけでは、本件第1特許発明が全く保護価値がないとかそれによる被告の独占的利益が全くなく、被告が補償金の支払い義務を完全に免れると見ることはできず、ただし、このような事情を独占権寄与率を定めるのに参酌できる。
(2)被告が実施していない職務発明の補償金支払い義務
被告が本件各特許発明を現在直接実施しているとは断定できないが、しかし、被告製品は、本件各特許発明に対して電話番号の検索順序又は方法を変えて適用したものとして、本件各特許発明の実施製品の需要代替品と見ることができるため、本件各特許発明の特許権に基づいて競合社が職務発明を実施できなくすることにより、被告製品の売上増加にある程度の影響があったと推認できるので、仮に、被告が本件各特許発明を直接実施していなかったとしてもそのような事情だけで補償金の支払い義務を全て免れることはできないが、これは独占権寄与率の算定において考慮することができる。一方、被告の競合社も本件各特許発明と異なる独自の方法で電話番号を検索する製品を生産していると見られるので、競合社が本件各特許発明を実施できなくすることにより得た被告の利益が全くないと評価することはできないが、その金額は相当に少ないものと見られる。
 
【専門家からのアドバイス】
 本判決は、原審判決(ソウル高等法院2014.07.17言渡し2013ナ2016228)[1]に対する大法院の上告審判決である。原審判決に対して原告、被告の双方が上告したが、今回の判決で上告を全て棄却することによって原審判決が確定した。
本判決では、被告の特許無効事由及び非実施主張に対して判断した後、支払い義務自体を否定はせず、独占的寄与率を非常に低く算定した原審を確定した(0.2%)。一方、上記判決内容に記載してはいないが、補償金請求権の時効と失効を主張した被告の主張についてはいずれも排斥しており、発明振興法の趣旨やこれまでの判例の傾向に照らしてみると、この部分は今後も認められない可能性が高い。
従って、会社(使用者)側としては、補償金請求の訴えが提起された場合、もちろん時効と失効可否を確認して主張しなければならないが、現在当該発明を実施しているかどうかを検討し、積極的に実施発明ではないということを主張すると同時に、特許の無効事由(進歩性)を主張して独占的寄与率を大きく下げるようにすることが戦略的な対応方針であると思われる。


[1]ジェトロ判例データーベースに収録済み
 
 
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