商標  大法院
原告(上告人 個人)vs.被告(被上告人 個人) 2015フ1690
2017-02-09 確定
 

【概要】

登録商標「ジャセンチョ(自生草のハングル)」と先使用商標「ジャセン韓医院」「ジャセン韓方病院」との類否判断において、両商標はいずれも要部が「ジャセン」であるといえるので、「ジャセン」が分離観察されるかを判断する必要なく、「ジャセン」を基準に対比すればその呼称と観念が同一であり、類似のサービスマークに該当する。

 

【事実関係】

原告は、韓国最大の韓方病院を運営する者であって、原告が韓方病院業を運営しながら使用してきたサービスマークである「ジャセン韓方病院」は、国内需要者間で相当知られており、原告は商品類区分第44類に属する「韓方医療業、韓医院業」[1]などを指定サービス業とする「ジャセン」、「ジャセン韓医院」、「ジャセン韓方病院」などのサービスマーク権も保有している。

 ところが、原告は「韓方医療業」などを指定サービス業とする「ジャセンチョ」商標(以下「本件登録商標」)が被告によって出願、登録されたことを知得し、本件登録商標は自身の先使用商標との関係で、旧商標法第7条第1項第11号及び第12号に該当するとしながら無効審判を請求した。特許審判院と特許法院は、「ジャセンチョ」は「自生する草」程度の意味を連想させる造語標章として分かち書きなしに結合しており、その構成上でも意味上でも、これを「ジャセン」部分のみに分離して観察されると見難く、3音節の短い音節に過ぎないので、全体的に呼称され認識されるはずであると判断し、「ジャセン」部分を要部とする先使用商標と非類似であるとして、原告の審判請求及び訴訟を棄却したため、原告はこれを不服として上告した。

 

【判決内容】

1)商標の類否判断の基準

2以上の文字または図形の組合わせからなる結合商標は、その構成部分全体の外観、呼称、観念を基準に商標の類否を判断することが原則であるが、商標中に一般需要者にその商標に関する印象を植え付けたり、記憶・連想させることによって、その部分のみに独立して商品の出所表示機能を行う部分、即ち、要部がある場合、適切な全体観察の結論を誘導するためには、その要部をもって商標の類否を対比・判断することが必要である。

 

 商標において、要部は、他の構成部分と関係なく、その部分のみで一般需要者に著しく認識される独自の識別力を有するため、他の商標との類否を判断するとき対比の対象になるものなので、商標で要部が存在する場合には、その部分が分離観察なされるかを判断する必要なく、要部のみで対比することによって商標の類否を判断できると見るべきである。

 

 そして、商標の構成部分が要部であるかどうかは、その部分が周知・著名であるか、一般需要者に強い印象を与える部分であるか、商標全体で高い比重を占める部分であるか、などの要素を判断してみるものの、ここに他の構成部分と比較した相対的な識別力水準やそれとの結合状態と程度、指定商品との関係、取引実情等まで総合的に考慮して判断すべきである。

 

2)本件登録商標と先使用商標の要部

文字からなる先使用商標が共通に有している「ジャセン(自生のハングル)」部分は、「自分自身の力で生きていく」、「自然に生え育つ」などの意味を有する単語として、そのサービス業との関係で本質的な識別力のある部分であり、原告の先使用商標が「韓方病院業」などに使用された期間、メディアに紹介された回数と内容、その広報の程度などに照らしてみるとき、上記商標で識別力がある「ジャセン」部分は、本件登録商標の指定サービス業と同一・類似し、または最小限経済的牽連性のある「韓方医療業」などと関連して一般需要者に広く認識されてその識別力がさらに強くなったといえる。このような点などを総合してみれば、先使用商標で「ジャセン」は独立的な識別標識機能を発揮する要部に該当する。

 

本件登録商標の文字部分のうち「ジャセン」部分は、先使用商標の要部と同一であり、同様に強い識別力を有する一方、「チョ」部分は薬草や乾草などのように「草」を意味する語として多く用いられ、その指定サービス業と関連して薬の材料や原料などを連想させるという点で識別力が高くないと見られるだけでなく、強い識別力を有する「ジャセン」部分と比較してみると、相対的な識別力も微弱である。さらに、「ジャセンチョ」が「自生する草」などの意味を有するとしても、これは辞典に登載されていない単語であって、「ジャセン」と「チョ」それぞれの意味を結合したこと以上の新たな意味が形成されるものでもない点まで加味してみれば、本件登録商標の文字部分のうち「ジャセン」が「チョ」と結合した一体としてのみ識別標識機能を発揮するとは見難く、「ジャセン」部分が独立的な識別標識機能を発揮する要部であるといえる。

 

3)結論

従って、本件先使用商標と本件登録商標は、いずれも要部が「ジャセン」であるといえるので、「ジャセン」が分離観察されるかを判断する必要なく、「ジャセン」を基準に対比すると、その呼称と観念が同一であり、類似のサービスマークに該当するといえる。

 

【専門家からのアドバイス】

商標は、自他商品を識別させて商品の出所の誤認、混同を防止するために使用するものとして、その機能は、通常商標を構成する全体が一体となって発揮するようになるものなので、商標を全体として観察してその外観、称呼、観念を比較、検討することによって判断しなければならないというのが主な原則であるといえる。ただし、商標を全体的に観察する場合にも、その中で一定部分が特に需要者の注意を引き、そのような部分が存在することによって初めてその商標の識別機能が認められる場合には、全体的観察と並行して商標を機能的に観察し、その中心的識別力を有する要部を抽出して2つの商標を対比することによって類否を判断することは適切な全体観察の結論を誘導するための手段として必要であるといえる。

 最近、特許審判院及び特許法院では、ある商標が一体不可分的に構成されていて、形式的に分離して観察することが自然でない商標の場合には、その商標の一部分が要部として機能するか否かと関係なく全体として観察されるはずであると判断する傾向があった。しかし、本件で大法院は、商標において要部が存在する場合には、その部分が分離観察されるかを判断する必要なしに、要部だけで対比することによって商標の類否を判断できると見るべきであると明らかにしたことによって、これまで全体観察の原則を積極的に適用してきた最近の特許審判院及び特許法院の判断傾向に影響を与えることが予想されるという点で、注目すべき判決であるといえよう。

 



[1]「韓方病院」「韓医院」とは韓国の伝統医療であって漢方医院を指す。

 
 
 
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