商標  特許法院
原告(個人李氏) vs. 被告(個人朴氏) 2016ホ5439
2016-11-18 確定

【概  要】
商標権者または使用権者のいわゆる検索広告、つまり商標権者がインターネット検索サイトの運営者との契約を通して、商標権者が指定した特定単語やキーワード(以下「検索語」)を一般インターネットユーザーが当該サイトの検索ウィンドウに入力すると、その結果画面に商標権者のウェブサイトに移動できるアドレスなどが表示される検索広告の場合、その検索語が登録商標などのたとえ一部であっても同一性が認められ、前記の表示されるアドレスなどからリンクされる商標権者のウェブサイト等が指定商品または指定役務(以下「指定商品等」)の販売/提供または広告のためのものであれば、商標権者のこのような検索広告行為は商標権者が登録商標を指定商品等の広告に使用したものとみることができるので、特別な事情がない限り不使用取消審判と関連して登録商標などの使用に該当する。
 
【事実関係】
原告は皮膚科および整形外科を運営する医師で、「」商標(以下「本件登録商標」)を商品類区分第44類に属する医療業などを指定して登録を保有している商標権者である。原告はインターネットポータルサイトのネイバーに「ピルトックス」を検索語とする検索広告を申請し検索広告を行っていた。一方、同じく整形外科医である被告は2015年6月29日付で「」商標を本件登録商標の指定商品と類似の指定商品に出願したあと、その翌日の2015年6月30日に本件登録商標に対して不使用取消審判を請求した。特許審判院は原告が提出した証拠は異なる登録商標に関する使用資料であるか、本件登録商標を商標として使用したものではなく説明的な文句として使用したものに過ぎないとして被告の審判請求を認容する審決をし、これに対して原告は特許法院に審決取消訴訟を提起した。
 
【判決内容】
(1)英文字と韓国語が結合した登録商標の韓国語部分のみを使用したことが登録商標の使用といえるか
本件登録商標は英文字「Filltox」とこれを単に韓国語で表音表記した「ピルトックス」がスペースをおいて横一列に併記された標章であるところ、韓国の現在の英語普及水準を考慮すれば英文字部分と韓国語部分はどちらも一般需要者や取引者に「ピルトックス」という意味に観念されるだけで、その結合により新たな観念が形成されるものではなく、英文字部分「Filltox」は韓国語表音表記部分「ピルトックス」の併記がなくても同じく「ピルトックス」と呼称されるものとみられる。このように本件登録商標のうち韓国語部分「ピルトックス」のみからなる標章を使用しても一般需要者や取引者に本件登録サービスマーク自体と同じ呼称および観念を生じさせるので、「ピルトックス」のみからなる標章を使用することは不使用取消審判事件における「登録サービスマークの使用有無」と関連して、本件登録商標と同一性が認められる標章の使用に該当するとみるのが妥当である。
 
(2)登録商標を検索語とする検索広告をすることが登録商標の使用といえるか
旧商標法第2条第1項第7号では「商標の使用」とは「商品または商品の包装に商標を表示する行為、商品または商品の包装に商標を表示したものを譲渡し、もしくは引き渡し、またはその目的で展示・輸出もしくは輸入する行為、商品に関する広告・定価表・取引書類・看板または標札に商標を表示し、展示し、または頒布する行為」をいうと規定し、同条第2項では上記のように「商品、商品の包装、広告、看板または標札に商標を表示する行為には、商品、商品の包装、広告、看板または標札を標章の形状または音もしくは匂いとすることを含む」と規定している。
商標法上、このような商標の使用は結局商標などを商品または役務(以下「商品等」という)と関連してその出所表示として使用することを意味し、必ずしも商標が商品等に固定されたり視角・嗅覚・聴覚的に認識されることを要求するものではないといえる。
このような前提からみると、商標権者のいわゆる検索広告、つまり商標権者がインターネット検索サイト運営者との契約を通して、商標権者が指定した検索語を一般インターネットユーザーが当該サイトの検索ウィンドウに入力すると、その結果画面に商標権者のウェブサイトに移動できるアドレスなどが表示される広告の場合、その検索語が登録商標などと同一性が認められ、前記の表示されるアドレスなどからリンクされる商標権者のウェブサイト等が指定商品等の販売/提供または広告のためのものであれば、商標権者のこのような検索広告行為は商標権者が登録商標を指定商品等の広告に使用したものとみることができるので、特別な事情がない限り不使用取消審判と関連して登録商標などの使用に該当するといえる。
さらに、不使用による商標登録取消審判制度は登録商標の使用を促進する一方、その不使用に対し制裁を加えることに目的があるので、旧商標法第73条第1項第3号、第4項で規定する「登録商標の使用」か否かの判断においては、商標権者が自他商品または役務の識別標識として使用しようという意思に基づいて登録商標を使用したものとみることができるかが問題になるだけであって、一般需要者や取引者がこれを商品等の出所表示として認識できるかどうかは登録商標の使用か否かの判断を左右する事由にはなりえない。
 
(3)結論
前述のとおり、原告が検索広告で検索語に指定した「ピルトックス」は本件登録商標と同一性が認められ、それを検索語として検索広告をしたことは、結局原告が本件登録商標と同一性が認められる標章をその指定役務のうち医療業、病院・医院業、整形外科業、皮膚科業等に対する広告に使用したことに該当するとみるのが妥当である。
 
【専門家からのアドバイス】
新聞、雑誌、カタログ、看板、TV等を通じた広告で使用されるいわば伝統的な商標の使用については、ロゴデザインや文字配列、観念、指定商品や役務の種類など個々のケースによってもちろん様々であるが、登録商標の一部のみの使用については本来厳格に同一性が要求されてきた。ところが「検索広告」は、需要者の追加的・能動的な行為がなくても商標と商品が表示されていることを需要者に伝えることができる伝統的な広告とは異なり、需要者が検索語を当該サイトの検索ウィンドウに直接入力するという追加的・能動的な特別な行為を通してのみ商標と商品が検索結果として画面に表示されるという点で大きく異なる。本案件は「検索広告」を通じた登録商標を使用した場合は、上記のような検索広告の特殊性を考慮して、一般的な広告と同じように登録商標の使用とみることができるということを確認した事例として意味があるといえる。

 
 
 
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