著作権  大法院
原告/被上告人 社団法人韓国音楽著作権協会 vs. 被告/上告人 ロッテハイマート株式会社 2016ダ204653号
2016-08-24 確定

【概  要】
家電製品販売店を運営する被告会社が、原告の韓国音楽著作権協会(以下「原告協会」)が信託を受けて管理する音楽著作物に関して公衆送信利用許諾だけを受けた店舗音楽サービス提供会社からデジタル形態の音源の伝送を受け、営業所面積3,000㎡未満の販売店舗で再生したところ、原告協会が、著作権法第105条第5項によって文化体育観光部長官の承認を得て定めた「著作権使用料徴収規定」には3,000㎡未満の家電量販店などに対する公演使用料徴収規定は設けられていないにもかかわらず、被告会社を相手に損害賠償を求めた事案において、大法院は原審判断は正当であり、被告会社が原告協会の公演権を侵害し損害を賠償する責任があると判断した。
 
【事実関係】
原告協会は文化体育観光部長官から著作権信託管理業の許可を受けて音楽著作物を必要とする利用者に音楽著作物の利用を著作権者に代わって許諾し、利用者から使用料を徴収して該当著作権者に分配する業務等を行う非営利社団法人である。被告は多数の家電製品販売店を運営する会社であって、その営業のために店舗音楽サービス提供会社からインターネットを通じて各販売店にデジタル形態の音源の伝送を受け、顧客が聞くことが出来るように販売店舗で再生してきた。被告の各店舗で2009年1月1日から2014年12月31日までのあいだに店舗音楽サービス提供会社を通じて伝送を受け再生された音源のうち90%が原告が委託を受けて管理している音楽著作物であったが、被告はこのような音楽著作物の公演自体については原告協会から利用許諾を受けていなかった。
一方、原告協会は、自身のような著作権委託管理業者が委託を受けた音楽著作物の利用者から受ける使用料の料率または金額について、文化体育観光部長官の承認を得て定めるよう規定している著作権法第105条第5項に従って、利用条件による使用料の料率または金額を規定した「著作権使用料徴収規定」(以下「徴収規定」)を制定、改正した後、それについて文化体育観光部長官の承認を受け、同内容に基づき利用者らと音楽著作物利用契約を締結して使用料の支払いを受ける方式で委託を受けた音楽著作物の利用関係を管理している。原告の徴収規定(第12条)には、大規模店舗のうち大型スーパーマーケット、デパートまたはショッピングセンターでする公演使用料に関しては、営業所面積を基準に3,000㎡以上の場合についてのみ、月額定額の公演使用料が決められているが、原告は2012年7月頃、文化体育観光部長官に営業所面積3,000㎡未満の家電量販店等についても公演使用料の支払いを受けることができる根拠規定を追加する等の徴収規定改正案に対する承認を申請したものの、同申請は退けられ、現在まで被告の店舗のような営業所面積3,000㎡以下の家電量販店などに対する公演使用料徴収規定は設けられていない。
原告の主張は、被告は2009年から2014年までに被告の各店舗において原告が信託を受けて管理する本件音楽著作物を原告の利用許諾なしに公演してその公演権を侵害したところ、それに関する損害賠償として著作権法第125条第2項によって算定した「その権利の行使により通常受けることができる金額に相当」する金額合計9億4380万ウォンと遅延損害金を支払う義務があるというものである。
これに対し被告は、著作権法第105条第5項は原告が音楽著作物の利用者から使用料の支払いを受けようとするときは文化体育観光部長官の承認を受けるように規定しているため、利用形態を予測できず使用料が決まらない場合には、上のような承認された徴収規定がない状態での被告店舗における公演に対しては原告は使用料を徴収することができず、したがってこれに対し原告が「その権利の行使により通常受けることができる金額」そのものがないため、公演権侵害による損害が発生したとみることはできず、また、原告の徴収規定に「店舗での公演」の場合は営業所面積が3,000㎡以上の場合にのみ使用料を徴収するよう定めているのは、3,000㎡未満の小規模店舗に対しては公演使用料を徴収しないという政策的決定によるものであるのに、事後的に徴収することに原告の方針が変わったからといって、本件のように使用料徴収規定の改正、承認手続なしにこれまでの使用に対する使用料の支払いを求めるのは原告の従来の立場と矛盾し、原告が著作権信託管理業の許可を受ける際に受け容れた、承認を受けた使用料規定を適用するという許可条件にも反し、関連会社との協議や、文化体育観光部長官の承認という規制を回避するものであって、信義誠実の原則に反して権利濫用に該当するという点などを主張した。
原審(ソウル高等法院2015.12.10.言渡2014ニ2023643判決)[1]は、著作権法第105条の規定はその文言上、原告が直接音楽著作物利用者と利用契約を結び、その契約によって使用料の支払いを受ける場合に適用されると解釈され、本件のように法院に著作権侵害を原因とした民事訴訟を提起し、その損害賠償を請求する場合まで上記条項による統制の必要性が認められると見ることができないので、上記著作権法規定の趣旨が承認を受けた使用料の料率または金額がない場合には、本件のように原告が法院に著作権侵害を原因とした損害賠償請求の訴えを提起することまで禁じるものではなく、被告が被告の店舗で本件音楽著作物を利用許諾を受けることなく公演することによって、それに関する公演権が侵害されたのに、それに関する権利の委託を受けた原告に管轄官庁の承認を受けた公演使用料の料率または金額が定められていないとして、その公演権侵害による損害が発生しなかったと見ることもできないという理由で、第一審の判断とは異なって原告に勝訴判決を下した。 

【判決内容】
 
大法院の判断は次の通りである。
 
イ.著作権法第105条は「著作権委託管理業者が利用者から受ける使用料の料率または金額は、著作権委託管理業者が文化体育観光部長官の承認を得てこれを定める」と規定している。上記規定の立法趣旨と文言の内容に照らしてみると、上記規定は著作権委託管理業者が著作物利用者と利用契約を結び、その契約によって使用料の支払いを受ける場合に適用される規定に過ぎず、著作権委託管理業者が法院に著作権侵害を原因として民事訴訟を提起し、その損害賠償を請求する行為を制限する規定として解釈されない。従って、仮に上記規定によって承認を受けた使用料の料率または金額がないとしても、著作権侵害を原因とした損害賠償請求権を行使するのに何ら障害にならない。
 
ロ.著作権法第29条第2項は、聴衆や観衆から当該公演に対する反対給付を受けない場合、「販売用音盤」または「販売用映像著作物」を再生して公衆に公演する行為が著作権法施行令で定めた例外事由に該当しない限り、公演権侵害を構成しないと規定している。ところが、上記規定は、公演権の制限に関する著作権法第29条第1項が営利を目的とせず、聴衆や観衆または第三者からいかなる名目であれ、反対給付を受けず、また実演者に通常の報酬を支払わない場合に限って公表された著作物を公演または放送できるように規定していることとは異なり、当該公演に対する反対給付を受けない場合であれば、非営利目的を要件としておらず、たとえ公衆が著作物の利用を通じて文化的恩恵を享有するようにする公共の必要がある場合であっても、ともすると著作権者の正当な利益を不当に害するおそれがあるので、上記第2項の規定に従って著作物の自由利用が許容される条件は厳格に解釈する必要がある。
 一方、著作権法第29条第2項が上記のように「販売用音盤」を再生して公衆に公演する行為について何ら補償なしに著作権者の公演権を制限する趣旨の根底には、音盤の再生による公演でその音盤が市中の消費者に広く知られることによって当該音盤の販売量が増加し、それによって音盤製作者はもちろん、音盤の複製・配布に必然的に伴う当該音盤に収録された著作物の利用を許諾する権能を有する著作権者もまた間接的な利益を得るようになるという点も考慮されたものなので、このような規定の内容と趣旨などに照らしてみれば、上記規定でいう「販売用音盤」とは、そのように市中に販売する目的で製作された音盤を意味することと制限して解釈するのが相当である(大法院2012.5.10.言渡2010ダ87474判決参照)。原審は、店舗音楽サービス提供会社が被告の店舗に伝送した本件音楽著作物音源が「市中に販売する目的で製作された音盤」に該当すると見ることができないと判断し、著作権法第29条第2項により原告の著作権行使が制限されるという被告の主張を排斥した。先に見た法理と原審が採択した証拠に照らして原審判決を詳察すると、原審の上記のような判断は正当であり、そこに著作権法第29条第2項の「販売用音盤」に関する法理を誤解した誤りがない。
 
【専門家からのアドバイス】
上記大法院判決は、著作権法第105条第5項によって文化体育観光部長官の承認を受けて設けられた著作権信託管理会社の徴収既定の法的性格を明確にしたものと言える。また、同法第29条第2項の「販売用音盤」の解釈に関する既存の大法院の判断(大法院2012.5.10.言渡2010ダ87474判決)を再度確認した点にも意義があるものと言える。ただし、判決の内容自体は、原審の判決論旨をほぼ全面的に肯定したものであって、新たな法的解釈が加えられたものではないが、著作権法以外の法や施行令、施行規則などで規定される徴収規定などの法的解釈にも影響を与える可能性がないとは言えないため、記憶するに値する事例であろう。
 ちなみに、改正著作権法(2016年9月23日付施行)では、第29条第2項の「販売用音盤」が「商業用音盤」という語に変更されており、これと関連して今後文言的解釈に何らかの変化が生じるかについては注目する必要がある。
 


 2016年4月ジェトロ判例データベースに収録済み




 
 
ニセモノ撲滅キャンペーン