特許  大法院
原告、被上告人 特許権者 vs. 被告、上告人 アダムヒュー株式会社 2014ホ2474権利範囲確認(特)
2016-09-30 確定
【概  要】
消極的権利範囲確認審判では、現在実施しているものだけでなく、将来実施予定のものも審判対象とすることができる。しかし、当事者間に審判請求人が現在実施している技術について権利範囲に属するかどうか争いがあるだけで、審判請求人が将来実施する予定であると主張して審判対象として特定した確認対象発明が、特許権の権利範囲に属さないという点については何ら争いがない場合であれば、そのような確認対象発明を審判対象とする消極的権利範囲確認審判は審判請求の利益がなく、許容されない。
 
【事実関係】
原告は特許第779211号(「モグサを利用した女性用薫煙剤及びその製造方法」)の特許権者であって、被告は2013年12月12日付で自身の確認対象発明は原告の本件特許発明の保護範囲に属さないという趣旨の消極的権利範囲確認審判を請求した。特許審判院は、確認対象発明が本件特許発明と構成が相違して均等関係にもないとし、被告の上記審判請求を認容する審決をした。これに対し、原告は審決取消訴訟を提起し、特許法院では、確認対象発明は被告が実施しておらず、将来実施する可能性もなく、特許権者から権利の対抗を受ける等の法的不安がない発明を確認対象発明としたものなので、審判請求の利益がなく、不適法であるとして審決を取り消したため、これに対し被告が上告した。
 
【判決内容】
原審が採択した証拠によると、①被告が特定した本件確認対象発明は、モグサ及びナラガシワの炭を用いずに浮遊物が付着していない薫煙剤であって、原告が主張する被告実施製品とは構成上の差異がある点、②被告は現在、本件確認対象発明を実施してはいないが、今後、本件確認対象発明を実施する計画であると主張している点、③原告は、原告が主張する被告実施製品については被告に警告状を送って刑事告訴をする等、本件特許発明の特許権侵害を主張したことがなく、今後もこれを主張する意思がないと陳述した点などが分かる。これらの事情を詳察すると、本件確認対象発明を審判対象とする本件消極的権利範囲確認審判は審判請求の利益があるといえない。
 
【専門家からのアドバイス】
韓国で消極的権利範囲確認審判は実施者の防御手段として頻繁に活用されている。例えば、警告状を受け取った実施者としては、不安定な状態を解消するために実施製品が該当特許発明の権利範囲に属さないという趣旨で審判を請求し、公的な判断を受ける利益がある。ところが、侵害訴訟中の場合には、侵害訴訟の中で確認を受けることができるので、あえて別途の手続で確認を受ける利益があるかは疑問であり、これについては過去に確認の利益がないと判示した判決がある。
本件は、特許侵害を理由に刑事訴訟中の被告が、原告が被告の実施製品であると主張するものと全く異なる発明を確認対象発明として消極的権利範囲確認審判を請求したものであった。被告が確認対象発明として特定したものは特許発明と全く異なるものだったので、権利範囲に属するかどうか両者間に争いがない。これは、単に被告が特定したある発明が原告の特許発明の保護範囲に属さないという趣旨の審決を受け、それを侵害訴訟中の製品に該当するものであるかのように活用する用途と見られる。従って、特許発明と異なる構成の確認対象発明を特定して消極的権利範囲確認を求めるこのような審判請求に対しては、「確認の利益」を綿密に判断して審判請求を却下することが妥当であり、その意味で審判院の最初の判断を覆した原審と本判決は極めて妥当なものであるといえよう。

 
 
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